理事長からのメッセージ 第3弾 未来の「レセプトAI業務」像が見えてきた 

AI導入後の未来の事務業はどのようになるのか、現在の事務職の業務、医師たちの業務はどのように変わるのかを研究チームで情報収集をしております。AIを導入している海外情報からレセプト業務は、レセプトAI業務へ移行し、改定情報をAIに教え込む作業(調整作業)と各施設でのアレンジの業務に集中する。算定はもちろん自動化。チェックボックスに改定後に採用する算定モジュールを選択します。またその際は人件費など加味し、収入にどれだけ有効か、チャットGPTが結果を表示し、手続きの有無を検討します。このように改定など制度変化に対応させ、自己の施設の特性に落とし込んだアレンジの総称を日本でいるレセプトに関する業務となり、これをここではレセプトAI業務と言っておきます。設定後は毎日の1日毎の収益の情報がリアルタイムでレセプトデータと勤務表データ、給与などの人件費データと連携し、AIが情報提供、最適な方法を提案しながらリアルタイムに収益がわかる時代になっていきます。つまり、医事課と経理課が一体になったレセプト会計、管理業務に代わっていくんです。やはり、改定対応力と経営管理の総合力が重要です。改定そのものが、電子政府化することでレセプトビックデータなど情報を取り込み、各種データから分析した結果を改定の方向性の検討、および具現化する点数の短冊にすることが容易になるため、改定のスピードが速くなる可能性があります。これは、まさにレセプト管理士の目指している変化対応力の必要性を意味しますが、残念ながら日本の技術の状況ではもうしばらく数年ほど海外より遅れると見込んでおります。電子カルテ+AIレセプトコンピュータによるアップコード化(電子頭脳が上位の算定を選択し、チャットGPTで尋ねる)などのコンサル機能を持つには、さらに数年かかる可能性があります。点検もチャットGPTと確認しながら作業します。チャットGPTの日本語バージョンは非常に弱く、最も発展した英語によるチャットGPTが基本となっており、日本語での活用には正確性に欠けるため、非常に難しい状況です。しかしながら、確実に日本ではAI技術は深化することでしょうし、標準化カルテシステムで統一され、これからはそのシステムに上乗せするAI導入も盛んになるかもしれません。

 

ところで、レセプト情報は日本では1か月毎という概念でしたが、手書き時代からの名残で、海外のレセ業務はもともと1か月後というルールでレセプト業務をしていません。つまりリアルタイム化しています。日本の診療報酬は複雑であるなど、諸事情はあるとしても、1か月後というルールそのものも変わる可能性は否定できません。改定時期も4月から6月に変更したように、制度は変わるかもしれません。なぜなら、リアルタイムのほうが、メリットが大きいからです。これからのデジタル時代は1日毎、あるいはリアルタイムな瞬間の算定が経営状況を見ていくうえで有益な情報であるため、活用としての価値が高まります。韓国ではリアルタイムによるレセ申請のため、不正請求がすぐにわかります。日本のように発覚が1か月のルールがあるため、1か月以上後になることがないため、不正請求の被害額が蓄積しません。日本ではご承知のとおり1か月後の過去情報であるレセプトが前提で、および監査に至っては数年かかることもあり、被害額も大きなものとなってしまいます。台湾ではレセ申請は翌日提出の1日毎になっており、保険制度も医療情報処理技術も迅速な処理を行う基盤、診療報酬の体制を作っています。日本では、レセプトは医療サービス実施後の一定の時間経過後(最大1か月後)となるため、過去情報という性質がありましたが、AI技術を導入し、発展させていくことで、制度そのものから変わっていく可能性も否定できません。さらにAIによって、カルテ情報から1か月後の診療予測カルテも開発検討されています。これによって、収益予測のシミュレーションができます。つまり、今あるレセプトは1か月前の過去のものではなくなり、未来予測の未来データとなるわけです。未来予測データがあれば、医療サービスのチェックや収益を意識した適切な軌道修正が可能となります。このように1か月前の過去データとしての概念ではなく、過去、現在、未来に渡る横断的データとして活用されていくでしょう。レセプトのパラダイム変革と言えます。従来の一旦終えた1か月毎のレセプトとは別に、今ある活きたレセプト情報という新しい概念が誕生し、そのためのリアルタイム管理として、新しい知識・技術「レセプト管理」が重要になることが考えられます。「死にデータ」から「生きデータ」へ転換されていく時代と言えるでしょう。海外でのAIの技術では、治療計画を医師の診断結果データ、医薬品データ、各種研究実験データ、患者の人口統計などの膨大な医療データをAIが分析することができます。これにより、同様の状態の治療結果の成功に関連するパターンを特定することが出来ると言われています。想定内で治療できている成功データだけではなく、想定外の経過となる個別の特殊ケース、事故や失敗のケースなど、様々な実践データをもとに、人間である医師がとらえきれなかった不確実性となるものをAIではかなり高い精度で予測可能とするということです。医師とAIが共に診療計画を行う医療AIの研究は盛んに行われていますので、上記のことはそう遠くはないと言えます。この新しいAIがあると仮定して、日本で改定が起きると、昨年と同じパターンを新点数ではどう収益が変わるか改定後のシミュレーションができます。改定後の収益予測は、改定後の点数の選択において非常に大きなメリットといえます。単純に点数の足し算シミュレーションではなく、施設基準、職員負担、人件費などかかるコストなど複雑な条件を含んでのシミュレーションを可能とするわけです。ただし、日本の場合は今までの傾向として慎重な動きがあることは否定できません、10年以上かけて緩やかに進んでいくことも考えられますが、最近の政府の動きをみる限り、非常に急ピッチで動いていると思いますので、早いかもしれません。現場にいると、今の実務の視点で考えてしまいますので、信じない方がいるかもしれませんが、是非入会していただき、多くの情報を収集して冷静に考えていただきますと幸甚です。

人材育成はAIを導入し普及してからでは間に合いません。技術に人がついていかなければなりません。日本の医療機関が海外のようにAI獲得競争が激しくなると予測できますので、準備をお急ぎください。どこのどんなAIを採用するか慎重に考える必要があります。昨年は台湾で国際大会を行い視察しましたが、本学会では毎年国際学術大会を行い、海外情報を収集しています。海外をみてきた私たちだからこそ、現場の皆様へ警笛を鳴らしているのです。学会の会員になっていただき、是非国際学術大会へ参加していただきたいと思います。現地で、自分の目で見ていただけたらわかると思います。

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