理事長よりメッセージ 歯科分野の未来とレセプト管理士について 第2弾 重要!

 皆様、今回は歯科分野に特化して話したいと思います。ずばり、歯科は今後、強いブランド力と医科や介護分野、そして歯科間で連携できるところが勝ち組となります。なぜでしょうか?それは診療報酬の改定が明確に示しています。明らかに歯科は単独での経営は厳しくなるなかで、生き残る道はというと、他の医療機関と連携させる政策のもと、連携に協力することで打開できるというものです。これは単純に医学的視点で連携が患者にとって良いということだけではありません。ご承知のとおり、2040年問題にむけて医療は激変していきますが、増える歯科医院と減る利益によって、合併、統合の必要性が高まることが予測されますので、経営的事情での連携が必須となります。

 では、歯科分野のなかではどんなことが言えるのかもう少し深く述べたいと思います。まず先に申しておきたいこととしては、今後、利益を得ることが難しくなり経営が苦しくなる歯科が増えます。これまでの経営指導アドバイスでは、一昔前までは、ユニットの空き状態をなくすこと、稼働率を引き上げることなどがありました。 しかし、歯科医院が非常に多く増え、さらに予防が進行し、う蝕治療だけではなく歯周病が減っていくこれからでは、こういった稼働率などの対策だけでは十分とは言えません。現在はといいますと、自由診療を増やすことで、利益を引き上げるという経営指導などが有効となっています。しかし、これもまた2030年ころからは通用しなくなってしまいます。高齢化の診療が全体の占める割合から大きくなりますので、保険外診療を選択する患者は激減します。もちろん、改定でライフステージに合致した診療、在宅、高齢者診療等の評価によって高まる点数も一部生じますが、膨らむ社会保障費を削減しなければならない事情から、改定に合致した運営をしなければ経営が厳しくなります。改定に沿った診療点数を算定できる診療を方向付けることは重要です。そして自由診療率を引き上げ歯科診療報酬の減った分を補完することは期待できなくなります。また、現在、一定の患者数を確保し、自由診療で成功している経営的に良好な歯科においても、自由診療を選択する患者数も2040年には、高い高齢化率によって、減ることが予測されるため、安心できない状況になるでしょう。また、診療報酬でも誘導された「か強診」はさらに今後深化し、連携に向かわせ、かかりつけが浸透したころには、患者が主体的に歯科を探す患者も減るため、マーケットとしては流動化の期待はできなくなってしまうでしょう。これらの状況が見えるなかで、さらに深刻なこととしては、人材不足も重なっていきます。歯科事務、歯科衛生士の確保が徐々に厳しくなり、特に歯科技工士および歯科技工の委託先の確保が難しくなります。椅子取りゲームのような時代とまでは言いませんが、歯科間の厳しい見えない競争が起きているのです。

 このように、多くの不安要因、考えられる深刻な問題点があるなかで、どうしたらよいというのでしょうか?その答えは、時代に合致した変化に対応できることです。2030年にはデジタル庁が目指す診療報酬改定DXが完了し、改定時期の見直しが行われます。これによって将来的に改定間隔が2年毎ではなくなり、毎月のように改定するような時代になることがありえますので、常に改定対応が求めらるようになるでしょう。歯科経営の切り札である「連携」も重要と言えます。歯科レセプト管理士のメリットは点数改定の動向を早くつかみ、対策をとれるだけではなく、医科、調剤、介護のレセプト管理士らとの間で交流、連携、情報交換が管理士会専用ページからできるようになることです。レセプト管理士会は現在その準備をしています。ご承知の通り歯科は医科や介護との連携が厚生労働省の誘導のもと、今後ますます必要になっていきます。連携することで、診療情報提供、患者の紹介を互いにすることができるからです。これからはレセプト管理士のように診療報酬を連携の次元で考えることができる有資格者が必要となります。また、連携は歯科同士でもしておく必要があります。単独で経営をしようとするところが非常に多くありますが、なぜ、歯科同士で連携,グループ化が必要であるかは、非常に重要なことですので、歯科医の先生、歯科スタッフの皆様は是非ともレセプト管理士の試験を受験され、レセプト管理士会のサービス、研修で是非知っていただければと思います。それはブランディングに大きく関わっています。

もうすぐ、歯科は図の厚生労働省が示す資料の通り、治療型から連携型になります。連携しなければ、高い診療報酬を得られないからくりが、強化されていきます。すでに、令和4年の改定では、その傾向がみえておりますが皆様は気が付いておりますでしょうか?これからは医科分野や福祉分野との連携、歯科同士での業務提携などを推進していくアクティブに動く人材が必要です。今から連携実績を考えることが必要です。誰ができるのでしょうか?点数等の知識があり、他の分野との接続を効率よく成功させ、促進できる人材、それがレセプト管理士なのです。医科分野にも、介護分野にも、調剤分野にもレセプト管理士がいます。レセプト管理士間で交流することが有効なのです。診療報酬のインセンティブでは連携等の実績があることが条件になることが多々ありますので、今からその実績作りが必要なのです。レセプト管理士は、経営戦略的資格といえるのです。事務だけではなく、医師を含む経営管理者の受験者の申し込みを期待しております。

今回はレセプト管理士の歯科分野について、申しました。私が最もお伝えしたいことは、結局のところ、最新の情報を握っている者が勝者になるということです。特に歯科間での連携はブランディングに関わり、後になればなるほど、連携グループが固まってしまうので、徐々に連携するところがなくなってしまうという問題が考えられます。後手になれば不利になります。つまり、先手必勝です。現場にいると10年後の先よりも、日常を優先してしまうことが多く、未来の話に実感が持てない方も少なくありません。だからこそ情報を予測し経営判断には重要な専門職となるレセプト管理士に興味を持っていただきたいと思っております。歯科分野でレセプト管理士を受験される割合は8割以上が歯科医(院長)でした。経営が厳しくなるなかで、院長間=レセプト管理士間で情報交換、連携、ブランディングなどの活動に興味をもっていただいております。レセプト管理士の資格を取得しますと様々な情報提供と戦略的に動く機会を提供致します。是非とも私たちの仲間になって、これからの厳しい時代を乗り越えていきませんか?

一般社団法人日本レセプト学会 理事長 大友達也

 

図 歯科の未来像(中医協資料) ここをクリック

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